北京~モスクワ 第3/4国際列車

第3/4国際列車-RW19雑記

 このページでは、いくつかのテーマで第3/4列車の興味深い光景を不定期に紹介していきます。
 第四回は雄大なる大草原、しかしベストシーズンを外すと枯れ草の敷詰められた想像外に寂しい草原の話「蒙古枯草大草原」です。

第四回「蒙古枯草大草原」

モンゴルの草原とは「緑」のはず

草原の石造りの家
草原の石造りの家

 旅をする上で、事前のイメージとは大事です。その土地を訪れる楽しさをより増してくれるのがイメージです。
 モンゴル聞いてすぐに浮かぶのは草原、それも若々しい緑の草原で、そこには馬が走り回り、遊牧民の生活の営みがある、というのが大抵ではないでしょうか?大体写真などで見る風景では必ずと言っていっていい程、美しい緑の草原が広がっている。勿論空はスカイブルー。ウランバートルの都会などは、「モンゴルの風景」ではありません....。
 このようなイメージを浮かべるのなら、モンゴルを訪れる季節は慎重に選ばなくてはいけません。私も緑の草原をイメージしてモンゴルに乗り込んだのですが、11月という季節柄、当然のごとくそのイメージは崩されました。当たり前です。日本よりも気候が厳しい国。日本で紅葉が舞っているのに、モンゴルの草原が緑である筈がないのです。

走る走る列車は走る 枯れた草原と雪の舞うゴビ灘を

半分凍ったトーラ河
半分凍ったトーラ河

 「緑の広大な草原」とは言葉を代えると、空と地平線しか見えない草原です。それ以外には何も無い。それでも季節が新緑の頃~夏にかけてなら景色は楽しいのですが、秋~冬の時期、寂寞とした草原を地平線を見ながら走るというのは、空しいものがあります。空がどんよりと灰色に曇り、雪でも舞われた日には、空しさが否応無く増してきます。一体遊牧民の人々は、このような厳しい季節(しかも一年の半分)に何を思って草原を駆け抜けるのでしょうか?遊牧民の生活とは牧畜を生業とし、動物たちの餌とともに場所を遊牧するのです。自分たちの意思というよりも、周りの状況で生活の変化にさらされる、非常に厳しい環境に置かれた人々です。

その土地のイメージとは本来...

赤く染まるモンゴルの草原
赤く染まるモンゴルの草原

 前もって自分の中にあったイメージが壊されると、その土地に裏切られたという身勝手な考えが浮かんでしまいます。「こんなの見せつけられるのなら来なければ良かった」....etc。が、モンゴルで緑に覆われた草原を見られるのは春の後半から夏のそれほど長くない期間な訳で、言ってみれば枯れ草大草原を見ることの方が機会としては多いのです。言い換えれば、枯れた大地の光景の方が、モンゴルの普段の姿なのかもしれません。
 お金と日数をかけて外国を訪れるのなら出来るだけイメージを壊されない、期待通りの光景を見たいと思うのが人情ですが、本当に「その国を見たい、触れたい」と思うのであれば、きっと本来は、極力ニュートラルな姿勢でその国を訪れなくてはいけないのでしょう。そうすれば、目の前にある風景がその土地のありのままの風景と認識することが出来るのではないでしょうか。私が見たモンゴルも、本来のモンゴルそのものなのです。

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