北京~モスクワ 第3/4国際列車

第3/4国際列車-乗客と乗務員

乗客

同室の蒙古美人

 国際列車であるので、乗車する人々は多彩です。当列車は観光列車ではなく、経路上の人々の生活を結ぶ列車ですので、旅行者は勿論の事、商人、帰省客(帰国客)を乗せて走ります。かつて社会主義国家の結びつきが強かった時代は、共産党の幹部や軍人も乗客にいたようです。結びつきが変わるにつれ、また飛行機という乗り物が発達するにつれ、これらの類の人が乗車することは殆ど無くなったようです。

乗客の種類

 国際列車らしく、乗客は多種多様です。しかし他所行きではない、普段着の旅行がここにはあります。

●旅行者

 ロシアを抜けてヨーロッパへ向かう西洋人か、日本人が主な乗客となるようです。併せて中国~モンゴル、モンゴル~ロシアの旅行者もいます。いずれにしてもそれ程多くはいません。主な利用等級は高包車です。

●帰省客

 モンゴル人が主で、乗車区間は北京~ウラン=バートルが圧倒的に多いです。モスクワ行列車は建前上ロシア行の販売が優先されるため、売れ残った場合にモンゴル客へ切符が周ってきます。乗車等級は高包、軟臥、硬臥。

●商人

 ここでいう商人とは「運び屋」です。主に中国でも仕入れてロシアへ持っていく商人。建前上国境ごとに税関の審査があるので(特にロシアの入国時の税関審査は厳しいと思われる)、運び屋も一人当たりの荷物量が少なくなるように頭数を用意します。主な積み下ろし駅は、ウラン=ウデ、イルクーツク、ノヴォシビルスク、そしてモスクワです。これらの駅では迎え入れるロシア人が駅のホームで待っており、停車と同時に車内から荷物が大量に吐き出されます。これらの人々は主に硬臥を利用します。差別はいけませんが、結果的に硬臥車は雰囲気はあまりよくありません。

乗務員

列車員(ウラジミール駅にて)

 当列車は中国国鉄の担当なので、乗務員も中国国鉄の所属です。中国やロシア、モンゴルでは、各車両に担当乗務員(列車員)が乗車し、担当車両一切の実務を取り仕切ります。
 中国国内列車ですと、列車長の下に各車両担当列車員、食堂車クルー、荷物車担当、郵便車担当、空調電源車担当などが居て一つのチームを組みます。日本の鉄道と異なり中国の列車はそれ自体が「~営業所」みたいなもので、列車ごとにスタッフが変わるということはありません。ですから、「第1列車」担当であれば、人事異動するまで基本的に「第1列車」に同じスタッフで乗務する訳です。この鉄道部(鉄道省)所属スタッフとは別に乗警(鉄道公安)が1~2名ほど乗車します。
 第3/4列車も基本的には中国の列車と同じですが、異なっていたのは終点まで勤務するのは各車担当の列車員と荷物車担当だけであること。食堂車クルーや乗警は北京~二連浩特の乗務となります。まあ食堂車は国境ごとに付け替えますし、治安当局も当然国ごとに変わりますから、当たり前と言えば当たり前なのですが。
 中国国鉄の列車員は概して女性の方が多いですが、この列車は超長距離勤務だからか男性、しかも貫禄のある年配列車員が多く乗務します。他の列車なら列車長クラスです。この辺りからも当国際列車が特別な列車であることが伺えます。 
 列車員は一車両2名でコンビを組みます。業務は乗客の管理、石炭暖房への石炭補充...それだけです。停車駅では入り口に立って乗降客のチェックを行いますが、北京出発以後は殆ど降車客のみで(高包車ではウランバートルで僅かに乗車客がいた)、しかもロシアに入ってしまえば乗車客は無く(国内移動客はロシア車に乗せられる)、乗客も殆どがモスクワ行きなので基本的には暇です。昼夜交代勤務ですが非番時も寝てるだけではつまらないので、結局起きている時は四六時中「勤務」しています。かといって停車時間以外は何か仕事をしている訳ではなく、私の車両の列車員はトランプばかりしていました。でも一つ偉いなと思ったのは、モスクワに着くまで少なくとも活動時間帯は、酒は入っていませんでした。深夜は知りませんが。

●所属

中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京客運段 国際聯運車隊

●乗務員人数(北京-モスクワ直通車)

旅客担当:各車2名×寝台車10両 計20名
荷物車担当:2名
計22名

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