概略
中国とモンゴル、ロシアの線路の幅は異なります。中国が線路幅1,435mmであるのに対し、ロシアとモンゴルの線路幅は1,524mm。約9cmの幅の違いがあります(理由については「国際列車の歴史」を参照)。この事が中蒙国境で車両の台車交換が行われる所以です。
交通機関の存在意義の一つが速達性であるとすれば、この台車交換は大きなハンデです。実際中国発の国際列車の内、北京西~ハノイを結ぶ第5/6列車はやはり線路幅が異なる中国とベトナム(線路幅1,067mm)を結びますが、中越国境では車両の台車交換を行わずベトナム国境の駅ドンタンで車両を乗り換えます。
我々日本人の感覚からすると、中越国境の車両乗り換えの方が合理的に思えるのですが、中国とロシア、そして旧ソ連の鉄道にはそのような考えはありません。特に旧ソ連国境は中国との国境はもちろんの事、ベラルーシやウクライナと東欧諸国との間でもわざわざ台車交換を行っています。尤もそれらの国境では中露国際列車と異なり編成ごと国境を越えるのではなく、一部車両のみが国境を越えて別の列車に併結されていきます。そういう事であれば、中露を結ぶ国際列車は10両以上(19/20列車は平壌編成も含めて15両前後)の車両が台車交換をするのでスケールが大きいです。
第3/4列車の台車交換は、中国側の国境駅二連浩特で行われます。二連浩特には専用の「国際換輪庫」という建物があり、ここに編成を2つに分割して押し込み、専用のジャッキで持ち上げて台車を交換します。
ちなみに中国~モスクワ結ぶもう一本の列車である第19/20列車は、ロシアのザバイカルスクで台車交換を行います。
※2008年11月にルーマニアとの国境駅であるウクライナのヴィクサニという所で、台車交換を実見。1,524mmの台車から1,435mmの台車へ履き替えです。ここでは屋外で交換を行いました。編成両数が6両ということもあってか、50分程で終了。二連浩特と異なり、出国審査と税関審査中に台車交換。税関吏が乗車している中での台車交換となりました。