北京~モスクワ 第3/4国際列車

第3/4国際列車-モンゴルの駅

ザミンウデ

  • 第3列車 第一日 23:40着 第二日 1:20発
  • 第4列車 第六日 19:35着 20:35発

 二連浩特を出ると、サーチライトに照らされた荒野のど真ん中をゆっくり列車は進みます。途中国境警備隊員が列車を睨んでいるのも見えます。深夜酷寒の中、本当にご苦労様です。でも深夜にサーチライト照らされる気分は良いものではありません。大きな中国のゲートをくぐり、二連浩特を出て時刻表通りなら20分ほどで、モンゴル側の国境駅ザミン=ウデに到着です。(乗車した列車はモンゴルに入ったところでしばらく停車しました。)
 すぐに出入国管理官と税関吏が乗ってきます。管理官は(旧)社会主義国特有のつばの広い制帽をかぶっています。どうして(旧)社会主義国の役人は、制服が大層なんでしょう。管理官も税関吏も共に女性で共に化粧が濃いです。特に問題が無ければすぐに審査は終わります。余程怪しくなければ質問されることも無い筈です。
 この駅でスフ=バートル行きの寝台車1両と、食堂車が連結されます。モンゴル国内のみを利用する乗客は、この車両に乗せさせられます。

チョイル

チョイル駅
  • 第3列車 第二日 8:44着 9:04発
  • 第4列車 第六日 12:15着 12:30発

 モンゴルの国境駅ザミン=ウデ、次駅サインシャンダが夜の闇の中なので、実質的なモンゴル最初の駅はこのチョイルになります。
中国の駅と違い、誰でも駅に入ってこれますが、街というよりも集落であり、周りには何もないので乗降客は皆無で僅かに物売りがホームで商売をしている以外は、人の気配がありません。
 この駅に限らずモンゴルの駅の周りは、ウランバートルを除いては「何も無い」としか書きようがなく、評判通り人口密度の少なさを見せ付けてくれます。また、青々とした草原が広がっているイメージがありますが、私が訪れた11月という季節柄か、枯れた背の低い草木が大地を覆うだけで景色としては寂しい。「夏なら草原の緑に囲まれる」というイメージはありません。

ウランバートル

ウランバートル駅
  • 第3列車 第二日 13:20着 13:50発
  • 第4列車 第六日 7:35着 8:05発

 大モンゴル国の首都です。
 思うにモンゴルとはウラン=バートルと「それ以外」で国が出来ていると言ったら言いすぎでしょうか?モンゴルの人口の7割はこのウラン=バートルに住むというだけあり、それまでまたこれ以後に見たモンゴルのどの街よりも桁違いに大きいです。と言っても、他の街が、街と言うよりも集落と言った方が正しいだけで、このウラン=バートルを他の国の首都と比べてはいけません。日本の地方都市と同じかそれよりも小さいかも。要は日本の感覚で言えば都会という言葉は当てはまりません。
 が、そのことは街の大小を表しているだけのことであり、それがいけないという訳では勿論無く、北京からは一泊の距離だけれども、旅の途中に立ち寄るのには程良い街かもしれません。ただ、行くのなら間違いなく春から夏です。このウラン=バートルに限らず、所謂「草原のモンゴル」を追い求めて行くのなら、緑の季節に行ったほうが良いです。私が訪れた時は、草木は枯れ、雪が積もり、トーラ河は半分凍っていましたから。残念ながら、チンギス=ハーンの凍えた姿しか想像出来ませんでした。
 ちなみに、ウラン=バトールの中国側への手前1時間程のところに大Ω(オメガ)カーブがあります。このカーブは、万一戦争になって中国に鉄道を支配された時に、中国の物資輸送を遅らせ又そこを走る列車を攻撃しやすくする為に、わざと造られたものです。

ズンハラ

ズンハラ駅
  • 第3列車 第二日 16:45着 17:05発
  • 第4列車 第六日 4:15着 4:45発

 ウランバートルを出た列車は、相変わらず何も無い風景を走ります。ここズン=ハラの周りも何もありません。単に決まりごとだからこの駅に停車したという感じで、乗客も降車客もいません。
 そもそも列車は目的地(モスクワ)へ「到達すること」を旨とし、目的地へ「速く乗客を届ける」という速達性は考慮していないように思えます。中国の列車は、最近でこそ飛行機との競争が激しくなり、速達性を売り物にする列車も出てきていますが、この国際列車は、北京を出た時からそのような性格(スピード)とは無縁です。まあそれでいいのですが。

スフバートル

  • 第3列車 第二日 20:50着 22:05発
  • 第4列車 第五日 22:35着 第六日 0:20発

 車内で書いていた日記でこの駅を紹介します。
「20:48 スフ=バートル着。役人と兵士が勢ぞろいでお出迎え。防寒具を着込んだ兵士が自分のコンパートメントを見ている(監視と言ってもよい)。出入国管理官が「Hello!」の挨拶で出国カードを配りに来た。ついで税関吏が申告書を。税関吏は気のいい婦人。
21:15 列車が動き出した。パスポートを集めた役人は何処かへ行った。5分程で何も無い所で停まった、と思ったら元来た方向へ動き出した。車両の軋む音。どうやら入換作業をしていたらしい。食堂車とモンゴルの寝台車両はここ迄だった。
21:40 入換作業は終わったが、車両の誰もが声を出さない為、車内を不気味な静寂が支配する。
21:45 隣に停車していた南行の列車が出発。イルクーツクから来た列車らしい。車両はロシア式の一区画8名寝台。最後尾に4名1室のコンパートメント。明日早朝ウランバートル着か。
21:50 出入国管理官が戻ってきた。年配の女性1名と若い男性1名。男性の方は新人のようで、女性に指導されながらパスポートを戻してきた。管理官が出ていったあと、、再び静寂の世界。時折声を出すのは列車員(※車掌)だけ。外(※ホーム)では役人が談笑している。
22:10 出発。役人全員こちらに敬礼だ。」(専門用語以外は原文ママ)

 国境の雰囲気がお分かりいただけたでしょうか?この駅では到着後すぐに出国審査が始まるため、車内に缶詰にされてホームに降りることは出来ません。

中国の駅(塞外~中蒙国境) ← → ロシアの駅(蒙露国境~バイカル湖)

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