北京~モスクワ 第3/4国際列車

第3/4国際列車-中国の車両

 国際列車であることと冬季はシベリアの酷寒地域を走るため、中国国内用とは別に専用の形式車両が用意されました。この形式は通常の国内用車両とは一線を画し、上流顧客が乗車することを前提に造られ、例えば硬臥であっても4名1室コンパートメントという、造られた当時としては上質の車内空間を提供することとなりました。また、ロシア車やモンゴル車と連結されるので、それら車両の設備に合わせて連結面にはバッファーが取り付けられています。
 いくら寒冷地域を走るとは言っても夏のシベリアは30℃を越える地域もあり、優等列車に使用されるのにも関わらず寝台車に空冷設備が無いのは厳しいものがありますが、車両そのものの貫禄は十分。大変魅力的な車両群です。

RW19型軟臥車(高包)

RW19 軟臥車(高包)
RW19型(ズン=ハラ駅)
データ
定員:16名(2名個室 8室。扉付コンパーメトメントタイプ)
全長:23.95m
自重:49.5t
製造年:1995年
ドイツDWA社製
所属:中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京車両段
RW19 高包車の車内案内

 第3/4列車が国際列車として貫禄を持つ所以の車両です。この車両無くして、当国際列車は成り立ちません。
 元々は国家の高級幹部か外国人が乗る車両でした。今でも「切符発売規則」なるものが中国国際旅行社のHPにあり、それによると「高包は外国人旅行者及び外交・公用パスポート所持の中国人のみが乗車可能」と、ありえないことが書いてあります。 つまり中国の民間人は、どんなにお金を持っていてもこの車両には乗車できず、高包の乗客は実質的に外国人のみとなります。
 1990年代製造の比較的新しい車両ですが、車内は木目調で統一され、高級感を漂わせています。二段ベッドと共に一人用のソファ。隣のコンパートメントと共同の洗面(一応シャワーという事になっていて、お湯が出ます)付きで明らかに他の車両とは扱いが異なります。石炭暖房により冬場は問題無いですが、冷房は付いておりません。
個人的には、今まで乗車した日本を含む東西の車両で最も好きな車両です。

RW18型軟臥車

RW18 軟臥車
RW18型(ズン=ハラ駅)
データ
定員:32名(4名個室 8室。扉付コンパーメトメントタイプ)
全長:23.95m
自重:56t
製造年:1995年
ドイツDWA社製
所属:中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京車両段

 4名1室の優等車両です。北京-モスクワを走るもう一つの列車19/20列車では、この等級に厳密に該当する車両はありません。車内は明るい薄クリームのリノリューム張りで、RW19の木目張とは異なり近代的な印象を受ける車両。その分、何となく「軽い」気がします。
 乗客は高包か硬臥かに二極化するようなので基本的にはガラガラの模様。私の乗車した列車でも、ウラン=バートルを過ぎると乗客が居なくなりました。中国民間人が利用できる最優等車両ですが、旅行者風の中国人は皆無ですし運び屋は硬臥に乗るので、どうも中途半端な車両になってしまっているようです。実際連結されているのも高包2両に比べて当車両は1両。ですので利用する場合4名1室であるにも関わらず個室利用が期待できますが、この列車に乗ること自体を楽しみに行くのなら高いお金を払っても高包を利用するべきです。実際、ウラン=バートル-モスクワ間は、運び屋の倉庫と化していました。

YW18型硬臥車

YW18 硬臥車
YW18型(北京駅)
データ
定員:36名(4名個室 9室。扉付コンパーメトメントタイプ)
全長:23.95m
自重:56t
製造年:1995年
ドイツDWA社製
所属:中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京車両段

 通常の硬臥が6名1室の開放または半開放寝台であるのに対し、このYW18は扉付きのコンパートメントです。中国国鉄に於いて硬臥が最も使いやすい車両であると思いますが、この列車のこの車両については、節約旅行でない限りは避けたほうが良いと思います。乗客は基本的に中国とロシア、モンゴルとロシアを行き来する商人(運び屋)で、旅行者は皆無に近いです。「硬」臥と言っても薄いマットレスであり、板の上に寝る訳ではないので体が痛くて寝られない事は無いでしょうが、雰囲気がそんなに良く無いのでオススメは出来ません。RW18と同じく明るいリノリューム張りの車内で電灯も蛍光灯ですから、暗い雰囲気はありませんが...。連結されている車両は最も多く、乗客の絶対数も少ないですから、4名1室でも個室利用が期待出来ます。ちなみに運び屋の方々は食堂車を利用しません。全食、持ち込んだ食料で過ごします。食事時になるとその香りを車内に充満させます。
 なお硬臥の一両は、北京-二連浩特のみの連結です。

CA18型食堂車

CA18 食堂車
CA18型(北京駅)
データ
定員:40名(4名用テーブル左右5台 計10台)
全長:25.5m
自重:56.8t
製造年:1992年
南京浦鎮車両廠製
所属:中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京車両段

 中国国鉄所属の食堂車です。この列車は国ごとに食堂車を変えるので、このCA18は北京-二連間の連結となります。非空冷車編成の中で、この車両だけが冷房付きです。
この列車の中国側食堂車の営業時間は昼 11-12時、夕 17-18時と決まっています。素晴らしいことに、食事は免費。つまりタダです。乗車してしばらくすると食券を配りに来ます。タダと言うのは乗客にとって非常に素晴らしい事で、これだけ満員の食堂車は中国といえども初めて見ました。 しかしやっぱりタダはタダ。出てくる料理はお世辞にも美味しいとは言えず、まあ食べさせてくれるだけ感謝しなくてはと言った内容です。何故タダなのか。それは、特に中国行きの列車に於いて乗客が中国元を持っていないことが考えられる訳で、その人達にも食事を供する事が出来るように、それも片道だけではメンツが立たないので中国発も、との施策だと思います。中国という国は不思議な所でホスピタリティ(サービス?)を感じる事がありますから。よく言い過ぎでしょうか。

XL18型荷物車

XL18A 荷物車
XL18A型(北京駅)
データ
荷重:12t
全長:23.6m
自重:52.6t
製造年:1990年
南車四方機車車両製
所属:中華人民共和国鉄道部 北京鉄路局北京車両段

 国際列車用の荷物車です。
 前後部1両ずつ連結されます。北京発車時に前方はXL18A型で北京-二連浩特間の連結、後方はXL18型で北京-モスクワ間の連結となります。
積荷は運び屋の荷物、出稼ぎモンゴル人が持っていく大型電化製品(テレビ他)など。

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